2022.07.17
相続放棄ができる期間は?
亡くなった方に多額の借金があり、相続放棄をする場合、相続放棄はいつまでにしなければならないのでしょうか。
民法にはこう記載してあります。
民法第915条1項
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
以上のとおり、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」にしなければなりません(相続の開始があった時からではありません)。
では、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月後」になって亡くなった方に多額の借金があった場合はどうすればよいのでしょうか。もう相続放棄ができる期間を過ぎてしまったので相続放棄はできずに亡くなったかたの借金を相続人が返していかなければならないのでしょうか?
これについては判例はこう言っています。
判例(最判昭和59年4月27日)では、相続放棄をしなかったのが「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認めるときは…熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべき」と判示しています。つまり、例外的に相続放棄ができる余地はあります。
上記の判例の内容をまとめると、
① 被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたこと
② 相続財産の有無の調査をすることが著しく困難な事情があって、①のように信ずるについて相当な理由があること
が、死亡を知ってから3カ月経過後でも例外的に相続放棄を受理してもらうための要件です。この要件を満たす場合でも、「借金などの存在を認識した時から3カ月以内」には相続放棄をする必要があります。
ちなみに、①については、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じた場合に限られるのか(限定説)、一部の相続財産の存在は知っていたが、通常その存在を知っていれば当然相続を放棄したであろう債務が存在しないと信じた場合も含まれるか(非限定説)は、裁判所によって判断が分かれています。そのため、一部の相続財産の存在を知っていたからといって、必ずしも相続放棄を諦める必要はありません。
相続放棄の詳細はこちらです。
カテゴリ:相続について
民法にはこう記載してあります。
民法第915条1項
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
以上のとおり、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」にしなければなりません(相続の開始があった時からではありません)。
では、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月後」になって亡くなった方に多額の借金があった場合はどうすればよいのでしょうか。もう相続放棄ができる期間を過ぎてしまったので相続放棄はできずに亡くなったかたの借金を相続人が返していかなければならないのでしょうか?
これについては判例はこう言っています。
判例(最判昭和59年4月27日)では、相続放棄をしなかったのが「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認めるときは…熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべき」と判示しています。つまり、例外的に相続放棄ができる余地はあります。
上記の判例の内容をまとめると、
① 被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたこと
② 相続財産の有無の調査をすることが著しく困難な事情があって、①のように信ずるについて相当な理由があること
が、死亡を知ってから3カ月経過後でも例外的に相続放棄を受理してもらうための要件です。この要件を満たす場合でも、「借金などの存在を認識した時から3カ月以内」には相続放棄をする必要があります。
ちなみに、①については、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じた場合に限られるのか(限定説)、一部の相続財産の存在は知っていたが、通常その存在を知っていれば当然相続を放棄したであろう債務が存在しないと信じた場合も含まれるか(非限定説)は、裁判所によって判断が分かれています。そのため、一部の相続財産の存在を知っていたからといって、必ずしも相続放棄を諦める必要はありません。
相続放棄の詳細はこちらです。