2022.08.01
複雑な相続登記
登記の申請をする場合には、物権変動の順番を守らなければなりません。
相続登記を申請する場合も例外ではございません。
例えば、次のようなことが起こったとします。
夫が死亡して、残された親族は子、子の妻、夫の父です。
この場合、相続人は子のみになります。
なので、子は自分を相続人として、夫が遺した土地の所有権移転登記を申請して、登記がされました。
しかしその後、子が相続放棄をした後に子が死亡しました。
相続放棄は絶対的な効力をもちますので、子は最初から夫の相続人ではなかったことになります。
子が相続人ではなかったことになると、夫の相続人は夫の父になります。
この場合、登記の申請はどうなるのでしょうか。
まず既に登記がされた子の所有権移転の登記を錯誤を原因として抹消登記のを申請します。
子から夫の父への所有権移転登記1本で申請することはできません。
子から夫の父への物件変動は何もないからです。
登記の申請は、子が死亡していますので、子の相続人である子の妻と夫の父、夫の相続人である父でします。
ここでなぜ子の相続人が夫の父であるのか疑問に思われるかもしれません。
整理しますと、子が亡くなった時点に生存している親族は、子の配偶者と子の祖父になります。
相続人の順番は、①配偶者、子②直系尊属③兄弟姉妹
です。
②は、「直系尊属」であり、「父母」ではございません。
生存している直近の直系尊属を意味しています。
話を戻して、子の所有権移転登記は抹消されました。
次に、夫から唯一の相続人である夫の父への相続を原因とする所有権移転の登記を申請します。
このことは、相続登記に限ったことではございません。
例えば、A→B→Cと、不動産の売買が順番にあった時に、Cに所有権が移った時点で不動産の所有権の登記名義人はまだAのままだったとします。この場合、所有権はCにあるからと言って、いきなりAからCへの所有権移転登記を申請することはできません。
AとCの間では、物権変動は何もないからです。
ですのでこの場合も、物権変動に忠実に、AからBへの所有権移転の登記申請、次にBからCへの所有権移転登記の申請をしなければなりません。
カテゴリ:相続について
相続登記を申請する場合も例外ではございません。
例えば、次のようなことが起こったとします。
夫が死亡して、残された親族は子、子の妻、夫の父です。
この場合、相続人は子のみになります。
なので、子は自分を相続人として、夫が遺した土地の所有権移転登記を申請して、登記がされました。
しかしその後、子が相続放棄をした後に子が死亡しました。
相続放棄は絶対的な効力をもちますので、子は最初から夫の相続人ではなかったことになります。
子が相続人ではなかったことになると、夫の相続人は夫の父になります。
この場合、登記の申請はどうなるのでしょうか。
まず既に登記がされた子の所有権移転の登記を錯誤を原因として抹消登記のを申請します。
子から夫の父への所有権移転登記1本で申請することはできません。
子から夫の父への物件変動は何もないからです。
登記の申請は、子が死亡していますので、子の相続人である子の妻と夫の父、夫の相続人である父でします。
ここでなぜ子の相続人が夫の父であるのか疑問に思われるかもしれません。
整理しますと、子が亡くなった時点に生存している親族は、子の配偶者と子の祖父になります。
相続人の順番は、①配偶者、子②直系尊属③兄弟姉妹
です。
②は、「直系尊属」であり、「父母」ではございません。
生存している直近の直系尊属を意味しています。
話を戻して、子の所有権移転登記は抹消されました。
次に、夫から唯一の相続人である夫の父への相続を原因とする所有権移転の登記を申請します。
このことは、相続登記に限ったことではございません。
例えば、A→B→Cと、不動産の売買が順番にあった時に、Cに所有権が移った時点で不動産の所有権の登記名義人はまだAのままだったとします。この場合、所有権はCにあるからと言って、いきなりAからCへの所有権移転登記を申請することはできません。
AとCの間では、物権変動は何もないからです。
ですのでこの場合も、物権変動に忠実に、AからBへの所有権移転の登記申請、次にBからCへの所有権移転登記の申請をしなければなりません。