竹田司法書士社会保険労務士事務所

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新着情報

2022.07.23

遺産が少ししかない場合は遺言書は必要ないのか?

相続についての相談を受ける中で、よく話題になるのが

「私には不動産もないし、貯金も少ししかないから遺す財産はない。だから私が死んでも子ども達が遺産について揉めるなんて考えられません。」

というお話です。

結論から申し上げますと、遺産分割で遺された相続人が揉めないという事はあまり聞いたことがありません。

これは、遺された相続人が仲が悪いとか、いい人でないからとかの話ではなく、人間の心理の仕組みからそうなってしまうものと思われます。

例えば、自分が汗水流して一生懸命に働いた対価として100万円のお給料が手に入ったとします。借金などなく、その100万円は自由に好きなように使えるお金だとします。その100万円から500円の牛丼を友達にご馳走するくらい、何ともないことだと思います。
では、道を歩いていて500円が目の前に落ちていたとします。その500円を拾おうとしたら、いきなり横から友達がサッと自分より先にその500円を拾ってしまったとします。500円は決して大金ではないのにムッとしませんか?(もちろん、その500円はきちんと警察に届けなければなりません)

そうなのです。自分が何かの対価的なものとしてお金が手に入るのと、そうでない場合では、金額の多い少ない関係なしに、人間は人格が変わってしまうのです。

それを相続に置き換えた場合、その争いを防ぐ方法があります。

「遺言書の作成」です。

親の最後の責任として、相続人が争わない為にも法律に則った遺言書を作成しておくことはとても、とても大切ことなのです。

そしてもう一つ大切なことがあります。

遺言書は、遺言者よりも受遺者(遺言で遺産を受ける人)の方が先にお亡くなりになると(同時死亡も含みます)、その遺言は無効になってしまいます。受遺者の相続人にその遺言が相続されるわけではございません。ですので、そうなった場合に備えて、第2、3順位の受遺者を指定しておくことも遺言書の内容としては多く見られます。


(個人的には遺言書がなくても相続人の方達が争うことなく遺産分割をして、平和に暮らせる日が来ることを心より願ってます。)


カテゴリ:相続について
2022.07.22

遺された預貯金の払い戻しについて

お亡くなりになられた方が遺された預貯金はどうなるのでしょうか?
金融機関は相続が発生したことを知った時点で被相続人名義の預貯金を凍結します。
預貯金は遺産分割の対象であり、複数の相続人がいる場合、遺産分割が確定するまでは相続人単独での払戻しができないようにするためです。
なので、原則遺産分割協議が成立するまで相続人は預貯金を引き出すことはできません。
しかし、どうしても相続財産である預貯金を相続人が緊急に使わなければならないこともあると思います。
例えば、亡くなられた方の葬儀費用や相続人の生活費などです。
そのような場合は、遺産分割前に各相続人が相続財産である預貯金の一部を引き出せる制度があります。

その根拠は民法909条の2にあります。
「各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の預貯金債権の3分の1に権利行使者の法定相続分を乗じた額について、金融機関ごとに150万円を限度として、単独で払い戻しを求めること」
かできます。

ポイントは
「金融機関ごとに150万円を限度として」
です。なので、A銀行、B銀行に各300万円の遺産があれば、A銀行から最大150万円、B銀行から最大150万円を引き出すことが可能です。

例をあげます。
夫がお亡くなりになり、妻と子2人の計3名が相続人です。妻の法定相続分は2分の1、子の法定相続分は各4分の1です。この時、夫の遺産としてA銀行に600万円、B銀行に1200万円があるとします。
妻と子2人で遺産分割協議がなかなかまとまりません。
この場合、妻は単独でA銀行から100万円(600万円×(2分の1×3分の1)、B銀行から150万円(1200万円×(2分の1×3分の1)=200万円。150万円を超えているので150万円となる)引き出すことができます。

この場合、妻が引き出した金額は遺産の一部の分割により取得したものとみなされます。



カテゴリ:相続について
2022.07.21

胎児は相続人になれるのか?

結論から申し上げますと、胎児も相続人になれます。
妻が懐胎中に夫が死亡した場合などです。

しかし、この場合、妻は胎児を代理して遺産分割協議をするといったことはできません。

亡くなられた夫の不動産の相続登記をする場合は、妻と胎児で持分2分の1ずつ(他に子がいない場合)で登記を申請することになります。

このとき、登記を申請する際の胎児の住所の記載は妻(母親)の住所を記載します。
なお、懐胎証明書等の妻が懐胎している証明書等の添付は不要です。
カテゴリ:相続について
2022.07.20

消滅時効か、相続放棄か

親がお亡くなりになられて、全く知らない貸金業者から督促状が相続人に届く場合があります。
相続人は被相続人の権利義務を一切承継する為、亡くなった親の借金を返す義務も承継しています。
そのため、亡くなった親が借金をしていて返済が未了の場合、貸金業者は相続人に借金の残債を支払うように求めてきます。
この時にとても重要になるのが、「亡くなった親が最後に借金を返済した日」です。その日から原則5年経過していれば(令和2年4月1日前に発生した債権の消滅時効は10年ですが、商事債権は5年の消滅時効にかかります。なお、令和2年4月1日以降に発生した債権は商事債権であっても5年又は10年の消滅時効にかかります)消滅時効を援用する事により、亡くなった親の借金を返済しなくてもよくなります。しかし、安易に消滅時効を援用するのは危険です。なぜなら、貸金業者が消滅時効の完成前に裁判で確定判決を取っていれば時効が進行した期間は一から振り出しに戻ってしまうからです。貸金業者が確定判決を取っているかどうかを調べるために連絡をとるのにも抵抗があるかと思います。
そういう時は相続放棄をして、亡くなった親の権利義務を一切放棄すれば借金を支払う義務はなくなります。
しかし、相続放棄をすると、次の順位の相続人(例えば、子が一人でその子が相続放棄をした場合、亡くなった親の直系尊属や兄弟姉妹に借金を支払う義務が承継される)に借金を支払う義務が相続されるので、親族との話合いが必要になってくる場合もあります。
2022.07.19

遺産分割協議とは?

遺産分割協議という言葉はよく耳にしますね。
テレビのドラマでもよく出てくるキーワードです。

遺産分割協議とは、亡くなった方の財産をどのように分けるかをを相続人間の協議によって定めることです。

遺産分割協議は、亡くなった方の「相続人全員でしなければ無効」になってしまいます。
なので、相続人の確定は慎重に行わなければなりません。

令和6年4月から相続登記が義務化になりますが、遺産分割をしなかった場合、残された不動産の名義変更登記は法定相続分で登記の申請をすることになります。
しかし、相続登記がされた後に遺産分割協議をした場合、不動産の持分移転登記の申請をすることになるのですが、登録免許税が発生します。
なので、最初に登記の申請をする時点で既に遺産分割協議が成立している方が登録免許税の節約になります。

また、争族(そうぞく)という言葉があるように、残された財産の遺産分割争いが起こらないとも限りません。
そのような場合に備えて、遺言書を作成しておく事をお勧め致します。
カテゴリ:相続について