2022.08.02
相続税について
相続が発生して、遺された財産の価格が3000万円に相続人の人数×600万円を加えた金額を超えた場合に相続税が発生します。この3000万円に相続人の人数×600万円を加えた金額を基礎控除と呼びます。
では、相続税が発生したと思い、誤って相続税を支払ってしまった、または多く支払ってしまったのだけれども実際は基礎控除以内であったという場合はどうすればよいのでしょうか。
そのような場合、相続税の還付請求ができます。
しかし、この相続税の還付請求を行える期限がございます。
相続税の還付請求期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から原則5年10カ月以内です。
相続税を多く払い過ぎることなんてあるのかな?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
相続税を多く払ってしまう一例としまして、不動産を相続した場合がございます。
遺された不動産を高く評価し過ぎて相続税を払ったけれども、実は相続税を払わなくてもよかった、というような場合です。
そもそも、3000万円を超える相続ってそんなにあるものなのでしょうか?
相続税が発生する日本の割合は8%に満たないという統計がでています。
ですので相続税が発生する場合というのは、そんなに日常で起こりうることではないのかもしれません。
(相続税の詳しい内容はこちらです)
カテゴリ:相続について
では、相続税が発生したと思い、誤って相続税を支払ってしまった、または多く支払ってしまったのだけれども実際は基礎控除以内であったという場合はどうすればよいのでしょうか。
そのような場合、相続税の還付請求ができます。
しかし、この相続税の還付請求を行える期限がございます。
相続税の還付請求期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から原則5年10カ月以内です。
相続税を多く払い過ぎることなんてあるのかな?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
相続税を多く払ってしまう一例としまして、不動産を相続した場合がございます。
遺された不動産を高く評価し過ぎて相続税を払ったけれども、実は相続税を払わなくてもよかった、というような場合です。
そもそも、3000万円を超える相続ってそんなにあるものなのでしょうか?
相続税が発生する日本の割合は8%に満たないという統計がでています。
ですので相続税が発生する場合というのは、そんなに日常で起こりうることではないのかもしれません。
(相続税の詳しい内容はこちらです)
2022.08.01
複雑な相続登記
登記の申請をする場合には、物権変動の順番を守らなければなりません。
相続登記を申請する場合も例外ではございません。
例えば、次のようなことが起こったとします。
夫が死亡して、残された親族は子、子の妻、夫の父です。
この場合、相続人は子のみになります。
なので、子は自分を相続人として、夫が遺した土地の所有権移転登記を申請して、登記がされました。
しかしその後、子が相続放棄をした後に子が死亡しました。
相続放棄は絶対的な効力をもちますので、子は最初から夫の相続人ではなかったことになります。
子が相続人ではなかったことになると、夫の相続人は夫の父になります。
この場合、登記の申請はどうなるのでしょうか。
まず既に登記がされた子の所有権移転の登記を錯誤を原因として抹消登記のを申請します。
子から夫の父への所有権移転登記1本で申請することはできません。
子から夫の父への物件変動は何もないからです。
登記の申請は、子が死亡していますので、子の相続人である子の妻と夫の父、夫の相続人である父でします。
ここでなぜ子の相続人が夫の父であるのか疑問に思われるかもしれません。
整理しますと、子が亡くなった時点に生存している親族は、子の配偶者と子の祖父になります。
相続人の順番は、①配偶者、子②直系尊属③兄弟姉妹
です。
②は、「直系尊属」であり、「父母」ではございません。
生存している直近の直系尊属を意味しています。
話を戻して、子の所有権移転登記は抹消されました。
次に、夫から唯一の相続人である夫の父への相続を原因とする所有権移転の登記を申請します。
このことは、相続登記に限ったことではございません。
例えば、A→B→Cと、不動産の売買が順番にあった時に、Cに所有権が移った時点で不動産の所有権の登記名義人はまだAのままだったとします。この場合、所有権はCにあるからと言って、いきなりAからCへの所有権移転登記を申請することはできません。
AとCの間では、物権変動は何もないからです。
ですのでこの場合も、物権変動に忠実に、AからBへの所有権移転の登記申請、次にBからCへの所有権移転登記の申請をしなければなりません。
カテゴリ:相続について
相続登記を申請する場合も例外ではございません。
例えば、次のようなことが起こったとします。
夫が死亡して、残された親族は子、子の妻、夫の父です。
この場合、相続人は子のみになります。
なので、子は自分を相続人として、夫が遺した土地の所有権移転登記を申請して、登記がされました。
しかしその後、子が相続放棄をした後に子が死亡しました。
相続放棄は絶対的な効力をもちますので、子は最初から夫の相続人ではなかったことになります。
子が相続人ではなかったことになると、夫の相続人は夫の父になります。
この場合、登記の申請はどうなるのでしょうか。
まず既に登記がされた子の所有権移転の登記を錯誤を原因として抹消登記のを申請します。
子から夫の父への所有権移転登記1本で申請することはできません。
子から夫の父への物件変動は何もないからです。
登記の申請は、子が死亡していますので、子の相続人である子の妻と夫の父、夫の相続人である父でします。
ここでなぜ子の相続人が夫の父であるのか疑問に思われるかもしれません。
整理しますと、子が亡くなった時点に生存している親族は、子の配偶者と子の祖父になります。
相続人の順番は、①配偶者、子②直系尊属③兄弟姉妹
です。
②は、「直系尊属」であり、「父母」ではございません。
生存している直近の直系尊属を意味しています。
話を戻して、子の所有権移転登記は抹消されました。
次に、夫から唯一の相続人である夫の父への相続を原因とする所有権移転の登記を申請します。
このことは、相続登記に限ったことではございません。
例えば、A→B→Cと、不動産の売買が順番にあった時に、Cに所有権が移った時点で不動産の所有権の登記名義人はまだAのままだったとします。この場合、所有権はCにあるからと言って、いきなりAからCへの所有権移転登記を申請することはできません。
AとCの間では、物権変動は何もないからです。
ですのでこの場合も、物権変動に忠実に、AからBへの所有権移転の登記申請、次にBからCへの所有権移転登記の申請をしなければなりません。
2022.07.31
相続人になれない人達
相続人になれない人が存在します。
下記に該当する人は相続人にはなれません(相続欠格事由)。
①故意に被相続人(お亡くなりになられた方)又は相続について先順位・同順位の者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたため刑に処せられた者。
例えば、夫がお亡くなりになられた場合に妻と子A、子Bがいたとします。夫の死亡の原因が、子Aの故意による殺害であった場合、子Aは夫の相続人にはなれません。また、子Aから見て子Bは同順位です。この場合、子Aが子Bを故意に殺人した又は故意に殺人しようとした場合も同様、子Aは夫の相続人にはなれません。
また、この場合で夫の死亡後に数年が経過し、妻がお亡くなりになられた場合、子Aは妻の相続人になれるのでしょうか?
子Aは妻の相続人になることもできません。子Aが殺害した、又は殺害しようとした子Bは妻の相続の場合において同順位になります。
ですので、妻がお亡くなりになられた場合もやはり子Aは妻の相続人にはなれません。
②被相続人が殺害されたことを知って告訴・告発しなかった者は相続人にはなれません。しかし、殺害者が自己の配偶者又は直系血族である場合を除きます。
③詐欺又は強迫ににより、被相続人の相続に関する遺言の撤回・取消し・変更を妨げたり、撤回・取消し・変更をさせたりした者や、相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者は相続人になれません。
しかし、この場合でも、法形式を整える趣旨でなされたにすぎない場合や不当な利益を得ることを目的としない場合には、欠格事由とはなりません。
相続欠格事由に該当した場合は遺贈や遺留分を受けることもできません。
また、下記に該当する人も相続人にはなれません(排除)。
①被相続人に対して虐待、重大な侮辱、著しい非行行為を行った者。
欠格事由と異なるところは、
1、排除の場合は家庭裁判所への請求により排除の効力が生じます。
2、排除されたら遺留分を受けることはできませんが、遺贈は受けることができます。
3、兄弟姉妹を排除することはできません。
お亡くなりになられた方が兄弟姉妹から虐待等を受けていた場合、そんな兄弟姉妹に財産を遺したいとは思いませんよね。しかし、お亡くなりになられた方の相続人が妻と兄弟姉妹しかいなかった場合の兄弟姉妹の法定相続分は4分の1です。
兄弟姉妹に一切財産を遺したくない場合は、妻に全財産の相続させる旨の遺言書を書けばよいのです。
兄弟姉妹には遺留分はありませんから、遺言書をきちんと残せば全財産を妻に遺すことができます。
カテゴリ:相続について
下記に該当する人は相続人にはなれません(相続欠格事由)。
①故意に被相続人(お亡くなりになられた方)又は相続について先順位・同順位の者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたため刑に処せられた者。
例えば、夫がお亡くなりになられた場合に妻と子A、子Bがいたとします。夫の死亡の原因が、子Aの故意による殺害であった場合、子Aは夫の相続人にはなれません。また、子Aから見て子Bは同順位です。この場合、子Aが子Bを故意に殺人した又は故意に殺人しようとした場合も同様、子Aは夫の相続人にはなれません。
また、この場合で夫の死亡後に数年が経過し、妻がお亡くなりになられた場合、子Aは妻の相続人になれるのでしょうか?
子Aは妻の相続人になることもできません。子Aが殺害した、又は殺害しようとした子Bは妻の相続の場合において同順位になります。
ですので、妻がお亡くなりになられた場合もやはり子Aは妻の相続人にはなれません。
②被相続人が殺害されたことを知って告訴・告発しなかった者は相続人にはなれません。しかし、殺害者が自己の配偶者又は直系血族である場合を除きます。
③詐欺又は強迫ににより、被相続人の相続に関する遺言の撤回・取消し・変更を妨げたり、撤回・取消し・変更をさせたりした者や、相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者は相続人になれません。
しかし、この場合でも、法形式を整える趣旨でなされたにすぎない場合や不当な利益を得ることを目的としない場合には、欠格事由とはなりません。
相続欠格事由に該当した場合は遺贈や遺留分を受けることもできません。
また、下記に該当する人も相続人にはなれません(排除)。
①被相続人に対して虐待、重大な侮辱、著しい非行行為を行った者。
欠格事由と異なるところは、
1、排除の場合は家庭裁判所への請求により排除の効力が生じます。
2、排除されたら遺留分を受けることはできませんが、遺贈は受けることができます。
3、兄弟姉妹を排除することはできません。
お亡くなりになられた方が兄弟姉妹から虐待等を受けていた場合、そんな兄弟姉妹に財産を遺したいとは思いませんよね。しかし、お亡くなりになられた方の相続人が妻と兄弟姉妹しかいなかった場合の兄弟姉妹の法定相続分は4分の1です。
兄弟姉妹に一切財産を遺したくない場合は、妻に全財産の相続させる旨の遺言書を書けばよいのです。
兄弟姉妹には遺留分はありませんから、遺言書をきちんと残せば全財産を妻に遺すことができます。
2022.07.29
前回の続き
さて、相続が起こった時の相続登記の重要性は前回のブログに記載致しました。→こちらです
前回は子Aが遺産分割協議により法定相続分よりも多い不動産の持分を取得した場合でしたが、今回は子Bが相続放棄をしたことにより子Aの持分が増えた(遺された土地が全て子Aのものになった)場合を考えてみましょう。
子Bが相続放棄をしたことにより、遺産の不動産は全て子Aのものになりました。にも関わらず子Bが子Bの友人Cに子Aが相続した不動産を売ってしまった場合です。この場合、前回と同じように子Aは法定相続分である持分4分の1しか主張できないのでしょうか?
いいえ、今回は子Aは相続した不動産全てについての所有権を子Bの友人Cに主張できます。
子Aに登記が無くてもです。
なぜかと言いますと、相続放棄には絶対的な効力があり、子Bは相続放棄をした時点で遺産の土地については無権利者になります。その無権利者から土地を買ったCもまた、無権利者です。
無権利者には登記がなくても所有権の主張ができ、対抗できます。
別の視点から見ると、相続放棄には絶対的な効力があるから、お亡くなりになられた方に莫大な借金があっても、相続放棄をすれば、相続人はその借金を相続することなく、借金の返済をする義務は無くなるのです。
カテゴリ:相続について
前回は子Aが遺産分割協議により法定相続分よりも多い不動産の持分を取得した場合でしたが、今回は子Bが相続放棄をしたことにより子Aの持分が増えた(遺された土地が全て子Aのものになった)場合を考えてみましょう。
子Bが相続放棄をしたことにより、遺産の不動産は全て子Aのものになりました。にも関わらず子Bが子Bの友人Cに子Aが相続した不動産を売ってしまった場合です。この場合、前回と同じように子Aは法定相続分である持分4分の1しか主張できないのでしょうか?
いいえ、今回は子Aは相続した不動産全てについての所有権を子Bの友人Cに主張できます。
子Aに登記が無くてもです。
なぜかと言いますと、相続放棄には絶対的な効力があり、子Bは相続放棄をした時点で遺産の土地については無権利者になります。その無権利者から土地を買ったCもまた、無権利者です。
無権利者には登記がなくても所有権の主張ができ、対抗できます。
別の視点から見ると、相続放棄には絶対的な効力があるから、お亡くなりになられた方に莫大な借金があっても、相続放棄をすれば、相続人はその借金を相続することなく、借金の返済をする義務は無くなるのです。
2022.07.28
相続登記をしなかった場合に起こること
相続が起こった場合、不動産の相続登記をするといった認識は日本国民の全ての方々がお持ちになられているわけではございません。
だからこそ、相続人が不明で所有者が不明である不動産がたくさん存在することが問題視されているのです。
相続登記をしなかった場合の一例を見てみましょう。
登場人物は亡き夫X、妻Y、子A、子B、子Bの友人Cです。
夫Xが土地を遺し、お亡くなりになりました。相続人は妻Y、子A、子Bです。しかし、妻は子ども達に遺された土地を譲るために遺産分割協議で子Aと子Bに、
「私はこの土地はいらないから、お前たちで仲良く分けなさい。」
と言いました。すると子Bは、
「僕は弟だからお兄ちゃん(子Aのこと)に4分の3あげるよ!僕は4分の1だけでいいよ。」
と言ってめでたく遺産分割協議がまとまりました。しかし、子Bはなんと子Aに内緒で友人のCに土地を全部を売ってしまいました。
遺産分割協議で土地の持分はAが4分の3、Bが4分の1と決めたのですから、Bの行為はルール違反です。
Cはさっさと自分名義の土地の所有権移転の登記を済ませてしまいました(その前に亡夫Xから子Bへの所有権移転の登記が必要になります)。そこで怒ったのは子Aです。自分がてっきり残された土地の4分の3を所有していると思っていたのに、勝手に子Bに、Bの友人Cに土地を全部売られた上に所有権移転の登記までされてしまったのですから。
子AはCに言いました。
「その土地は4分の3は俺のものだ。全部自分のものだと思うなよ!」
常識に考えて子Aの主張は正しいですよね。しかし、法律的にはどうなのでしょうか。
答えは、子AはCに対して法定相続分である持分4分の1しか主張できません。
遺産分割協議や遺言などで、本来の法定相続分よりも多く相続したとしても、登記なくして第三者に対して主張できるのは法定相続分だけなのです。
ですので、子Aは遺産分割協議が成立した時点ですぐに持分4分の3の所有権移転登記を申請するべきでした(もちろん子Aは、子Bに対して訴訟などの手段を用いて損害賠償等を請求することは可能です)。
相続に限らず、不動産の所有権が移転した場合、登記をすぐに申請することをお勧めします。
実態と異なる登記が存在することは、トラブルの原因にもなりかねません。
カテゴリ:相続について
だからこそ、相続人が不明で所有者が不明である不動産がたくさん存在することが問題視されているのです。
相続登記をしなかった場合の一例を見てみましょう。
登場人物は亡き夫X、妻Y、子A、子B、子Bの友人Cです。
夫Xが土地を遺し、お亡くなりになりました。相続人は妻Y、子A、子Bです。しかし、妻は子ども達に遺された土地を譲るために遺産分割協議で子Aと子Bに、
「私はこの土地はいらないから、お前たちで仲良く分けなさい。」
と言いました。すると子Bは、
「僕は弟だからお兄ちゃん(子Aのこと)に4分の3あげるよ!僕は4分の1だけでいいよ。」
と言ってめでたく遺産分割協議がまとまりました。しかし、子Bはなんと子Aに内緒で友人のCに土地を全部を売ってしまいました。
遺産分割協議で土地の持分はAが4分の3、Bが4分の1と決めたのですから、Bの行為はルール違反です。
Cはさっさと自分名義の土地の所有権移転の登記を済ませてしまいました(その前に亡夫Xから子Bへの所有権移転の登記が必要になります)。そこで怒ったのは子Aです。自分がてっきり残された土地の4分の3を所有していると思っていたのに、勝手に子Bに、Bの友人Cに土地を全部売られた上に所有権移転の登記までされてしまったのですから。
子AはCに言いました。
「その土地は4分の3は俺のものだ。全部自分のものだと思うなよ!」
常識に考えて子Aの主張は正しいですよね。しかし、法律的にはどうなのでしょうか。
答えは、子AはCに対して法定相続分である持分4分の1しか主張できません。
遺産分割協議や遺言などで、本来の法定相続分よりも多く相続したとしても、登記なくして第三者に対して主張できるのは法定相続分だけなのです。
ですので、子Aは遺産分割協議が成立した時点ですぐに持分4分の3の所有権移転登記を申請するべきでした(もちろん子Aは、子Bに対して訴訟などの手段を用いて損害賠償等を請求することは可能です)。
相続に限らず、不動産の所有権が移転した場合、登記をすぐに申請することをお勧めします。
実態と異なる登記が存在することは、トラブルの原因にもなりかねません。